Bimmy Japan

桑農家・桑茶製造 IchikawaMisato-cho, Yamanashi

株式会社桑郷

明治から続く 「日本一の桑」で作る 最高の桑茶

「おはようございます!」朝5時30分の桑畑に大きな声が響き渡る。一際大柄な韓成旼(ハン・ソンミン)社長を中心に朝礼を終えると、スタッフは鎌を片手に勢いよく桑を刈っていく。30分もすればトラックの荷台は一杯になり、また次のトラックへ。朝一番の眠気をものともせず、次々と桑を積み込んでいく姿は気持ちがいい。

朝陽が昇ると同時にスタッフが集まり、和気藹々とした雰囲気のなかで桑を刈っていく。「桑には耳がついているから、悪い言葉は桑に伝播すると思っているんです。だからスタッフにはケンカするなら桑の聞こえないところでやって、と(笑)」

ハンさんが率いる<株式会社桑郷>があるのは山梨県西八代郡市川三郷町。かつて養蚕業で栄えた町である。1900年代初頭、この土地に住む一瀬益吉が蚕のエサとなる桑苗を購入したところ、明らかに収穫量が多く病害にも強いものを発見。これが1916年の大日本蚕糸会山梨支会主催の「第三回蚕糸品評会」において優等賞が授与され、一躍日本全国に知られるようになった。当時は外貨獲得のために国を挙げて養蚕業が盛んに行なわれた時代。農商務省によって『一ノ瀬桑』と名付けられたこの桑は、瞬く間に全国へと広がっていくことになる。

一ノ瀬桑の原木。近くには貞明皇后御視察記念碑も。1900年代初頭、いかに日本において桑が重要な植物だったかが窺える。

市川三郷町の桑郷本社から約20分車を走らせると、風光明媚な名所「四尾連湖」が現れる。かつては「富士八海」のひとつとされ、富士山を信仰の対象とする富士講信者が霊場として、水で身を清めていたという話も伝わる霊験あらたかな場所である。

ハンさんが育てているのは『改良一ノ瀬』という、100年以上前に日本一と謳われた一ノ瀬桑をさらに改良したもの。葉はより大きく厚くなり、栄養価も高くなっているという。

「桑のふるさと」とも言うべきこの場所で、町の歴史を作ってきた品種の血を受け継いだ桑を育て、収穫し、そして製茶するところまで一貫して行っている。桑畑は農薬、除草剤不使用である。

「オーガニック」という言葉が広く浸透し、ひとつのライフスタイルにもなっている現代においては決して珍しくない「農薬、除草剤不使用」という農法だが、桑郷がその決断をした理由はいかにもハンさんらしい。

「農薬や除草剤を使えば作業は楽になるかもしれない。けれど確実に農地は痩せていきますよね。それは明らかです。私は自分が死んでも次の世代の人が使える状態、さらに言えばより良い状態でバトンタッチしていきたい。そう思っているから農薬を使うという選択肢はなかったんです」

そして農薬、除草剤不使用で育てられた「土」が、桑郷の桑茶の美しい緑色とまろやかな味わいを生んでいる。

「野菜の栄養だって土からきていますよね? 私たちは土を食べることができないから、代わりに野菜を食べて栄養を摂っているんです。農産物は基本的に土の栄養を野菜という見える形に変えて私たちがいただく仕組みになっていて、それは桑も同じ。土が元気だったら、良い桑が育つと信じています」

桑郷の本社には、「百年を生きて千年の未来を輝かせる志で地元山梨・日本・世界に貢献する」という言葉が掲げられている。今がどうかよりも、自分たちの行動が未来にどんな影響を及ぼすか。強い眼差しで桑を見つめるハンさんの目は、常に遠い未来に向けられている。


Profile
株式会社桑郷 社長ハン・ソンミン

1978年、韓国生まれ。学生時代はハンドボール部に所属。2002年に妻、三貴さんと出会い2004年に結婚。「いずれは韓国で暮らすつもりでまずは1年だけ」のつもりで来日し、義父の仕事(桑茶の販売)を手伝うことに。2008年には自身が社長の株式会社桑郷を設立し、桑の生産から桑茶の販売まで手がける。『ハンさんのおいしいくわ茶』は国内のみならず、海外でも人気を博している。

History

桑農家・桑茶製造|株式会社桑郷

2008
株式会社桑郷を設立
2011
農薬、除草剤不使用で桑栽培管理を開始。
2012
製茶工場新設
2015
山梨県知事賞 地域力大賞受賞
2018
JICA(国際協力機構)中小企業海外展開支援普及・実証事業採択
2023
天皇誕生日祝賀レセプション(在フィリピン日本国大使館主催)出展

桑農家・桑茶製造|株式会社桑郷

IchikawaMisato-cho, Yamanashi

明治から続く 「日本一の桑」で作る 最高の桑茶

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